わたつみ友の会

わたつみ友の会

お知らせ

講演会

第83回精神文化講演会を振返って

・・・・現代の日本人に最も欠けている純粋な心、情熱と、公に奉仕する心を取り戻す契機として !!

去る平成20年4月20日(日)、東京赤坂の日本都市センターホテル大会議室において、第83回の精神文化講演会が盛大に開催されました。本年は当会は創立40周年の節目をを迎え、意義深い記念講演となりました。多くの方々のご来聴を戴き厚く御礼申し上げます。

演題 : 「大和言葉に生きる日本の心」
    國學院大學教授 古宮神社宮司 茂木貞純 先生

先生は、この日本列島に日本人が住み始めた約一万年前、縄文時代から日本の黎明期の弥生(春の意味)時代を経て、稲作が定着し、其の頃から中国とも違う、朝鮮とも違う所謂日本語(大和言葉)が成立したと考えられ、大和言葉は話し言葉であり、文字を持っていなかったこと。その後大陸から漢字が伝わり、話し言葉に漢字を当てて表現するようになり、それがその後の712年、古事記(漢字の音訓を使って書かれている)、720年日本書紀(漢字で書かれている)が成立したとのお話を頂きました。

然し和歌だけは漢字に直せなかったので、仮名文字に漢字の音を当てて表現し、この大和言葉には「言葉の中に先祖の体験が詰まっている」と説かれ、日本人全体が同じ時間を共有する歳神(穀物の神)の思想が生まれ、食べ物(たまいもの)とか味物(ためつもの)が約まって食べ物となり、上か下へ下さるものとして、食事のときなどに「戴きます」という習慣が成立したこと。息子、娘は(苔むす)とか(草むす)に代表される万物が生成してくる有様をあらわし、(むすひ)産霊につながり、(不可思議な力)霊魂(ひ)となり、さらに其の根底には太陽の持つ神秘的な力(太陽信仰)があると説かれました。更に、彦、姫に込められた意味、くくのち(木の神)、のづち(野の神)、かぐつち(火の神)、いかづち(雷)などの(ち)には無形の神秘力を表現していることを解説され、神々のお名前に命、尊(みこと)が付いているのは、御言即ち言葉を表し、「命もちて」とは、お言葉を以ってという意で、言葉には神聖な偉力、天意があり日本人が言葉を極めて大切にしてきたことが窺えるとして伊勢の大神を奉祭する皇室の貴さと、神話の重要性についても解説され講演を締めくくられた。

演題 : 「オペラ人生で学んだ諦めぬということ」
    桐朋学園大学特任教授 ソプラノ歌手 中丸三千繪先生

二人目の講師である世界のオペラ歌手、中丸三千繪先生に「オペラ人生で学んだ諦めぬということ」と題して、ご自身の人生の歩みと音楽との関係、また其の体験に基づく人生観、世界観、更に宇宙観にまでおよび、楽しいお話の中にも私達が忘れがちな目的に向かう情熱、常に進歩向上を志す強い意志力を感じさせて戴き、聴衆の方々にも勇気を与え、正に「諦めない」ということを強く印象付けたお話でした。

幼少の頃より、モノゴトに対して強い関心をよせられ、科学者か医者になりたいと考えていたが、母親の夢もあり、音楽の道に入り、ピアノを習い始めたが更に科学に興味が行き、日立の海岸での海草の研究で賞を戴き、その後、音楽高校に進学、ジャズピアニストのビル・エバンスのピアノ演奏を聴き、彼に会うためにアメリカへ、桐朋大学へ進学の動機がハンサムだった清水和音と一緒の大学へと、とにかく一旦思い立ったことは必ず実行し、成功するまで努力したそうです。そうして最初の大きな出会いが小澤征爾氏との出会いでオーデションで代役に決定したことで、その後、氏のアドバイスでイタリアへ、其の後数々のコンクールに優勝とそれにまつわるエピソードを交えてお話された。

印象深いというか意外だったのが「私の中で音楽の占める割合は、ほんの数パーセントです」といわれたこと、オペラ歌手の前に人間としてどう生きるか、生き方が重要ということでした。そして小児癌の医療の援助活動などを通し、あるときから場所や時を選ばず、楽譜を歌うことではなく人生を表現することに目覚め、精力的にコンサート活動を続けられ現在に至っていること。また現在の政治のあり方の幼稚さを指摘され、教育においても本当に子供達の能力を伸ばすものでないことを強調された。これは講演でのお話には無かったことであるが、父親から「生きることは人の犠牲になることだ」いわれ、常に社会、世界に貢献することを考え、自らに与えられた使命を果たそうとする強い意志を持ち続け、今日まで人生で決定したことは必ず実現しようと他人の百倍の努力をし、決して諦めず、またそのように成って来たことを強調された。そして色々な不思議な体験を通じて、「私は何か目に見えない力に導かれていることを感じている」と、「神の存在も認めます」と、其の人生のあり方は、私達に多くの示唆と勇気を与えるものとなりました。

west お知らせ一覧へ