講演会
第89回精神文化講演会を振り返って
桜も散り、新緑の季節を迎えようとしている4月20日、満員の聴衆を迎えて、第89回精神文化講演会が開催されました。日本の文化と、その精神の中核に在られる皇室並びに天皇陛下のご存在について、著作や講演を通して、日本人の心を体現されておられる天皇陛下を要に日本人がまとまって行かなければならないと訴えておられる矢作直樹先生に、日本人として生まれた事の有難さ、皇室を中心とした日本文化の在り方について講演を戴きました。講演の後、休憩を挟んで桐朋学園音楽学部の有志の6人の学生による弦楽六重奏により、クラシックの名曲の数々を演奏して戴き、予定を変更され残って戴いた矢作先生と共に、寛いだ雰囲気の中、しばしその美しい旋律と響きに包まれ、満員の聴衆を魅了して講演会を終了いたしました。最後までご清聴戴いた聴衆の方々に心から感謝を申し上げる次第です。
演題 : 「天皇の国」-日本の国柄を考える-
東京大学大学院救急医学分野教授 矢作 直樹 先生
矢作先生は、日本は第二次世界大戦に引きずり込まれ、敗戦と共にアメリカ軍のGHQによって、所謂神道指令と6年7か月に及ぶ言論統制によって二度と立ち上がれないようにと毒(日本の精神的中核を解体する)を盛られた。それが徐々に効いてきて平成になって、日本人が利己的となり、ギスギスした世の中になってしまったことを指摘された。また、終戦間際の陛下のお言葉を挙げられ、一番に国民の幸せを願うお心があった事。心臓の手術を成され体調が万全でないにもかかわらず、先の東日本大震災の直後に陛下のお言葉を賜り、日本が救われた事。またその後,天皇皇后両陛下が被災地を訪れ、被災者を励まされた事等のエピソードを交えながらお話され、世界を動かしている人々の動向、イスラエルと日本の皇室の関係などにも触れられ、皇室に伝わる儀式、四方拝、践祚大嘗祭にも言及し、陛下としての力を戴く事を紹介された。また古事記の中で、陛下は皇祖天照大御神様の意思を継がれ日本の国を統治されておられる事等を紹介された。その後、質問を受けられて講演を締めくくられた。
フレッシュ・コンサート(弦楽六重奏)
演奏 : 桐朋学園大学音楽学部有志
■ 第89回精神文化講演会を振り返って ―君民同治こそ日本の国柄そのものです―
陛下と国民の関係は、明治天皇の御製「罪あらば我を咎めよ天津神 民は我が身の生みし子なれば」に端的に表現されておられるように、主従の関係ではない。将に親子の関係であります。そして、陛下は我々が窺い知れない所で、皇祖天照大御神様の御意思を戴して、日本国の安寧と、国民の幸せと世界の平和を日夜ご祈願されておられるのが天皇の国の本質なのです。これが日本の国柄であります。兎角、現代は社会的成功や、お金や、名誉を得る事に奔走しがちである。外的要因に左右されない恒久的な幸福感を身に付けられないでいます。今一度、人間としてはもとより、日本人として今を生きている事の有難さ、それを感謝出来る心を涵養する事が緊要時ではなかろうか。
我々日本人は、そうした天上の意思を、その傘のもと陛下と共に体現して行く事が求められているのです。その有り難さを実感できる日本人に成らなければならないと痛感する講演会となりました。