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第95回精神文化講演会を振り返って

新型コロナウイルスの感染が一向に治まらない中、4月に予定した講演会が、お陰様で11月3日の文化の日に感染対策を十全に行った上で開催することが出来ました。お二人の講師の先生方、困難な中で会場に足を運んで頂いた多くの聴講者の方々に深く感謝を申し上げる次第です。

今回の講演会は、従来の唯物的人間観、旧来の日本の古代史観それぞれに変革をもたらす有意義な講演となりました。そして科学的態度とは如何なるものなのか、真実に迫ろうとする両先生の情熱に感銘を受け、コロナ禍にあって深くものを考える良い機会となりました。

演題 : 「超心理学の現状と展望」-テレパシー研究の科学性をめぐって-
明治大学大学院長 工学博士 石川 幹人 先生

初めに石川幹人先生には「超心理学の現状と展望」―テレパシー研究の科学性をめぐってーと題して、スライドを使いながら、先生がなぜ超能力に関心を持たれたのかのエピソードを交えてお話を進められ、超心理学は1930年代にESP(超感覚的知覚)の名付け親でもあるデューク大学のJ•B•ライン博士によって始められ、その科学的手法を解説され、困難を極める中でアメリカ心理学学会の一分科としての超心理学を位置づけるまでになり、世界各国での研究の成果を紹介され、科学と疑似科学の区別にも触れられ、日本のアカデミズムには未だ超心理学を受け入れる素地がないこと憂いられ、科学性評定研究として今日まで続けてこられたことを紹介された。

そして超心理学理論は、超常現象と通常現象をともに整合的に、また物理学との調和的関係、時空超越性(時空間を超えた遠隔作用がなされる)、目的指向性(人間の価値や意義に合致したふるまい)、社会適応性(めったやたらに起きない)、意識疎外性(超心理現象は無意識のうちに起こる)を説明しなければならないとして、困難ではあるがこれからも精力的に研究を続けていきたいと締めくくられました。

演題 : 「古代史に見る日本の心」-最新科学が今明かす真実-
古代史研究家 長浜 浩明 先生

続いて長浜浩明先生には、「古代史に見る日本の心」-最新科学が今明かす真実―と題して、ご自身でPCを操作しながら、古代の解明方法として、①科学的・論理的に古代史に接する。②様々な角度から、相互矛盾の内容に解明する。③自己主張するのではなく、データをして語らしめる。④誰もが納得できる論理展開を行うこと。をモットーとして、従来、定説とされてきた日本古代史観を覆し、権威に阿ることなくあらゆる科学的手法を駆使して、日本文明の成立、稲作の起源、大陸との関係、遺伝子解析による日本人の起源、更に古事記、日本書紀の真偽についても従来の定説を塗り替えなければならないと解説された。

その際、本会の会長であられた鴨志田恒世先生が著した「幽玄の世界」-神道の真髄を探るー、また4月に風詠社から刊行された「幽玄の世界」追補版の一文を参考に取り上げられ、特に神武天皇の東征に関してその真偽のほどを古代の文献と地質学的検討から詳しく解説され、神武東征はあったとして、またその即位年代や寿命の問題にも触れられ、従来の学者達が唱えた諸説は、ことごとく覆されると熱く語られ締めくくられました。

■ 講演を振り返って
図らずも私達は、両先生の講演から真実を求める真剣さと情熱を、その心の姿勢を見てとり、その科学的究明の可能性と、またその限界をも垣間見るものとなりました。

アインシュタインが物理学に時空間の革命的論理を確立したのは、金輪際疑うことのない公理(自明の理)を疑ったことからと言われています。新しい真理が世に出る時は、何時の世も激しい抵抗を受けるものであることは歴史が証明するところであります。

私達は、科学的知見は不動であり、そう信じがちです。然し、科学的知見はその時点の暫定的なものであり、変更可能なものであることをわきまえなければならいし、事実や体験があっても科学的に証明されないものは受け入れないというのは偏狭な考えであります。科学的真理のほかに、哲学的真理もあり、宗教的真理もあることを知らなければなりません。まして人間の心の領域は、その95%は意識されないものであり、私達の行動を支えるものは其の意識されない領域であると深層心理学が示しています。超心理学研究も、古代史研究もその真実を把握するには、理性の能力では限界があり、それを超える叡智(霊性)を獲得すれば常識となることを、今般出版された「幽玄の世界」追補版、「叡智への道標」が示唆しているのです。

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